LSIの設計・テスト・CADアルゴリズムに関する研究
どのような製品に対しても,それが正しく動くことを保証するためにテストが必要である.LSI(大規模集積回路)においても同様であるが,LSI は非常に複雑であるのでテストが非常に困難である.そのため,設計の段階からテストのことを考慮に入れておく必要がある.もしテストのことを考慮せずに設計された LSI は,テストすることができないと言える.今日の LSI の設計はコンピュータなしでは行うことができず,コンピュータ利用したコンピュータ援用設計 (Computer Aided Design: CAD)とよばれている.
- テストパターン生成
LSI に故障があると仮定し,その故障を検出するための入力パターン(テストパターン)を生成する問題.
—> (さらに詳しく) - テスト圧縮
テストにかかる時間を短くするためには,テストに用いる入力パターン数を少なくすることが必要である.テスト圧縮とはテストの質を落とさずに入力パターン数を少なくする問題.
→ (さらに詳しく) - テスト時の消費電力削減
LSI は熱に非常に弱い.テスト時の LSI の消費電力を削減する問題.
→ (さらに詳しく) - トロイ回路を検出する問題
外部の設計者や製造者によって,意図しない動作となるように埋め込まれた回路を検出する問題.
→ (さらに詳しく)
現実的制御/計画問題の実質的解決に関する研究
身の回りには多くの制御問題,計画問題があります.それらの最適解を求めることは,理想ではありますが,実際にはほぼ不可能です.
そこで,最適解を求める代わりに,最適解に近しい解を結果的に生成するルール・ベースを構築することを目指す研究を進めています.
おおまかな方向として,問題の規模を,
- 容易に解ける小規模問題;
- スパコンなどを使えば解ける中規模問題;
- 現在の科学技術では解けない大規模問題;
と分類し,
- 弱スケーラブルとは,小規模問題で最適,かつ中規模問題で準最適な解を生成すること;
- 強スケーラブルとは,小規模問題で最適,かつ大規模問題で準最適な解を生成すること;
というように性質を定義して,
- 弱スケーラブルなルール・ベースは,強スケーラブルであることが多い;
という仮説のもと, 弱スケーラブルなルール・ベースの構築を目指しています.
弱スケーラブルなルール・ベースを構築するために,
- 分枝限定法,整数線形計画法,動的計画法などに関する知見を活かして,小規模問題の最適解を高速に求めるための定式化や手法の開発;
- MPI や GPGPU に関する知見を活かして,中規模問題を最適に解くことができる手法の開発;
- 人工神経回路網や遺伝的アルゴリズムに関する知見,深層学習技術を用いて,ルール・ベースが基づく特徴量 (決定影響量) 関数を機械的に構成する手法の開発;
を進めています.
また,組合せ論理回路設計問題の整数線形計画問題としての定式化など,新たな問題へのアプローチも,少しずつ,進めています.